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清澄白河の街で育んだブランド、L&HARMONY。渋谷という街で宮本翔が、新たな挑戦にのぞむ

清澄白河という街にて、独自の審美眼をもってプロダクトの製作、アイテムのセレクトを行っている『L&HARMONY』。穏やかな空気感から一転、情報やエネルギーがあふれる渋谷に2店舗目をオープンさせた真意について、代表の宮本翔さんにお話を伺いました。芯の通った理念で、ブランドを拡大させる意図とは。

MIYASHITA PARKは公園もあって
自分のやりたいことを渋谷にマッチングさせられる場所

洗練されながらもどこか手作りの温もりを感じるアイテムが並ぶ店内。様々な偶然が重なって、職人が作り出すプロダクトと出会い、徐々に魅せられていったという宮本さんは、ファッション畑で得てきた知識や手法、そして人との繋がりを大事にされています。その背景がショップにも反映されているように感じました。清澄白河と渋谷のお店にはどんな違いがあるのでしょうか?

―まずはL&HARMONYのコンセプトを伺ってもよろしいでしょうか?

“職人技術と現代スタイルの調和”をコンセプトとして掲げてはいるのですが、もっと身近な感覚として、ウチの商品、例えばスニーカーを買っていただいた方がお家に帰って、明日履くのが楽しみだな、と思いを広げていただけることを大事にしています。買ったことで気分が上がったり、鏡の前でひとりファッションショーをしたりして、明日の自分が楽しみになるようなプロダクトを提案していきたいと思ってます。

―コンセプトにある、職人さんが作られるものに宮本さんはずっと興味があったんですか?

そんなことはないんです。もともと僕が携わらせていただいていたセレクトショップでは、ドメスティックのブランドをメインに扱っていたので、あまり職人さんとの縁もなかったんです。ただ、自分が起業して、アイテムをセレクトしていく中で、一番最初はムーンスターを扱わせてもらったんです。それがすごい反響を呼んで。そこから、同じ(福岡県の)久留米で作っているアサヒシューズをセレクトしたりして、徐々に職人さんが手掛けるプロダクトの扱いが増えていった感じです。また 、国産にこだわっているわけではないので、スロバキアの歴史あるスニーカーブランド、ノヴェスタもセレクトしたりしています。当初は幅広いカテゴリーをセレクトしていたんですが、シューズの反響が大きかったこともあって、それを柱にして拡大していきました。

―久留米にスロバキアなど、メインストリームではないところで作られているものに惹かれたりするんでしょうか?

王道なところは大手企業様が手掛けられている こともあり、資金力が小さいので、そこと勝負するにはどうするかと考えた時に、小さいマーケットをどんどん集めて行ったほうが可能性もあるし、差別化できて個性も出せると思ったんです。

―実店舗の出店の地として最初に清澄白河を選んだ経緯は何だったのでしょうか?

もともとは池尻大橋で小さい事務所を構えて通販だけで運営していたんです。8畳くらいの部屋にディスプレイもしていたので、「見たいです」と言ってくださるお客様には見てもらったりしていたんですが、その時に取引先の方が「君のやりたい世界観だったら清澄白河のカフェでポップアップショップをやってみたらどう?」と言ってくださって。それが きっかけで実際ポップアップショップをやってみたら1回目から反響がすごかったんですよね。まだ名もないブランドを買ってくださる方が多かったのが衝撃で。それと午前中の光が似合うようなブランドをやりたかったので、清澄白河のような、空が大きく開けている街にマッチすると自分でも思ったんです。

―街の雰囲気と合いすぎているので、てっきり清澄白河からスタートしたから、こういう雰囲気のプロダクトを生み出されているのかと思っていました。

たしかになるべくしてなったとは思っていますね。そういう偶然が重なった中で、自分の好みにも合ったから選んだという部分ももちろんあるんですけど。 それで自分がやりたいブランドイメージと街のイメージがハマって、もちろん家賃が安いとかの条件的なこともあったんですけど、競合もそんなにいないので勝負していけると思ったり。清澄白河という街の地名もいいですよね。あと、1店舗目だったので、デベロッパーの方も多くいらっしゃることを想定した時に、ブランドの色を出せる街とショップがいいと思っていたんです。大きい倉庫物件も世界観を伝えるにはぴったりで。

―そのブランドイメージにぴったりな清澄白河の次の出店がこの渋谷のMIYASHITA PARK内になるわけですが、その経緯も聞かせてください。

1店舗目のオープンから半年後にはこのMIYASHITA PARKに出店することをお声がけいただいたんです。いつか渋谷に出店したいな、という気持ちはあったんですが、渋谷は清澄白河のように空が開けている街ではなく、ビルがたくさん建ち並んでて、暗いイメージがあったのであまりピンと来てはなかったんです。でも、MIYASHITA PARKは屋上に公園もあるし、そこであれば空も大きく感じられると思ったんですよね。自分のやりたいイメージを渋谷という街にマッチングさせられる場所だと思ったので出店を決めました。

―屋上の公園もですけど、コンコースなんかもオープンなので外の空気に触れられますもんね。その新しいショップが居を構える渋谷という街で、ファッションという文化はどういった役目を担っていると感じられますか?

日用品としてのファッションと、自己表現としてのファッションと2軸あると思うんです。やっぱり渋谷でのファッションは後者としての役割が大きいですよね。若い方も多いし、エネルギーにあふれて未来に希望を持った人たちが来やすい街。新しいものを見つけられたりとか刺激を受けることができるのが渋谷だと思うんです。行動力があってエネルギーに満ちててコミュニケーション能力が高い方がたくさん集まる街。そういう街を新陳代謝しながら更新していく役目もファッションにはあると思います。洋服だけでなく、ライフスタイル全般でのファッションとして。

―そのファッションとしての在り方で清澄白河と渋谷に違いを感じることはありますか?

清澄白河に関しては、あまり流行は関係ないのかな、とは思います。自分のスタイルを持たれている方が多いので。住んでいるのにも理由があって住んでいる方が多いと思いますし、ファッションだけではなく自分のスタイルを確立されている方が多いと思います。渋谷に関しては、何か新しいことに出会えないかな、と思っている方が多いように感じます。

―たしかにL&HARMONYでも清澄白河は、お店に目的を持って訪れる方が多いのに対して、こちらの渋谷店は公園や飲食店、アートギャラリーなどに訪れた時にフラッと入られる方が多い気もします。そういう違いがある中で、渋谷店と清澄白河のお店で差別化を意識されたことはありますか?

渋谷店は清澄白河店よりもちょっと温もりをなくして、ソリッドな印象の内装にしました。グレーのモルタルを塗った壁で統一して。ただ、ハンドクラフト感のある壁にはしたかったので、すべて左官で塗ったところにこだわりはあります。清澄白河よりも幅広い層の方々がいらっしゃると思うし、これまでよりもトレンド性も多少は意識しなきゃいけないかと思って、 ニュートラルな感じは意識しました。

―セレクトしているアイテムも変えてるんでしょうか?

基本的にラインナップは変えていないです。

―清澄白河店の方はお客様 の像もある程度固まってきたかと思うんですが、この渋谷店にはどういったお客様 に来て欲しいですか?

両店舗ともに、お客様に丁寧に接したいという考えは同じです。ただ、渋谷店はスピード感も求められると思うので、もっとコラボアイテムなども仕掛けて発信していきたいと思ってるんです。多くのお客様に入っていただきやすく、メディアなんかにも訴求しやすいお店だと思うので、どんなお客様に来てほしいというよりも、来てくださるお客様に向けてこちらがいろいろなことを発しなければならないと思っていますね。

―そういったコラボを仕掛けていくこともひとつだと思うんですが、今後渋谷店でやってみたいことや、MIYASHITA PARKに期待することなどありますか?

屋上の公園やスポーツ施設と一緒に取り組みをしたいですね。ショップと連動感のあることをやりたいです。清澄白河のお店はあの街に支えられて一緒に育ってきましたが、この渋谷店は街というよりもMIYASHITA PARKという施設と一緒に育っていくことができたらと思っています。ここ数年でいくつかの商業施設がオープンして、それぞれに特色があるんですけど、MIYASHITA PARKはひと言で言うとストリートな感じがするんです。ストリ―トにも多様性があって、渋谷という街にも多様性があるので、そういった意味ではストリートの集合体だと感じています。なので、来るお客様も含めてストリートのイメージがもっと広まるといいですよね。

空が大きく広がるひらけた清澄白河も、若い方が多く面白いカルチャーが生まれる渋谷も、両方好きという宮本さん。次は二子玉川に店舗がオープン予定であることも教えてくださいました。

某セレクトショップで経験を積んだ後、株式会社シンフォキャンバスを設立。2015年にEC店舗として、セレクトショップ『L&HARMONY』を出店。2018年に初の実店舗を清澄白河にオープンさせる。2020年にはMIYASHITA PARKで2店舗をオープンし、さらに2021年には二子玉川店のオープンも控え、今後の展開に目が離せない。


Photograph:Tomohiko Tagawa
Edit&Text:PineBooks inc

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