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尾上右近 / 第45回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞者インタビュー

―――日本アカデミー賞のイメージは?

自分が関わるっていうのを最もイメージしてなかったものじゃないでしょうか。でも知ってるイメージの中では一番華やかな会場で華やかな人たちがキラキラしているという印象です。

―――受賞の瞬間は?

餃子を食べていましたね。まさに餃子を口に入れるか否かの時でしたね。一粒万倍日だったんです。その日はいい事あるんじゃないかという話をしてて、プペル歌舞伎を見た帰りに餃子を食べていたら電話がありました。ああ、良い事あった!みたいな感じでした。

―――誰かに報告しましたか?その反応は?

こういうとちょっとキザっぽくなりますけど、先祖です。映像の世界ってことで言うと母方の祖父である鶴田浩二という存在が大きくて。祖父の映画をいろいろ見直したりとか話を聞いたりとか、現場でもそんな話が出たりとか。必然的に祖父との距離がぐっと近くなるみたいな感覚があったので報告している感覚がありました。先祖に感謝という感覚が大きかったです。

―――先祖の反応は?

「まだまだ。まだまだだろう」みたいな感じじゃないですかね。

―――歌舞伎と映画の現場との違い

この「燃えよ剣」に関しては3ヶ月間みなさんと関わってご一緒させてもらいましたが、人との距離感がまた歌舞伎とはちょっと違いました。急激に深く知り合って、認め合って一緒に走っていくみたいな感覚はとても刺激的でした。コロナ禍に入ってより強く思いましたが、この瞬間が二度とないかもしれないという感覚や、始まってから最後まで無事に終われるのが1つの奇跡だという実感がとても強かったです。歌舞伎は再演がある、怠慢という意味ではなく、できなかったら次こそはという思いがどこかにあるし、それが強みだったりする。それに対して映画の現場はその時間その瞬間しかないというのは初めての感覚だった気がします。

―――客観的にみれますか?

割と客観的に見られました。もちろんもっとこうした方が良いというのは当然あるんですけど、それ以上にその時に感じてた空気感とか表情とか、この時真剣に懸けてたなという想いとか。やはり懸ける想いというのは上手い下手を越えていく、技術や経験値を越えてくる瞬間があると思うんです。未熟だけどそういう瞬間があの時の自分にあった気がするので誇らしかったです。純粋に。もちろんそれは僕の力というより、監督をはじめスタッフの皆さん、岡田さんはじめ共演者の皆さんが作り上げた空気感、先輩たちのアドバイスだったりとか、そういうもののおかげですね。

―――演技中に自分の殻を破るような心震える瞬間はありましたか?

それは全瞬間そうでした。今までやってきたことと全然違うというか。映画は深々と粛々と気持ちを表現していくみたいな、デッサンをここまで細かく書いた事はないなという感覚がありました。実際監督からの演出で、こんなにわかりやすく表現のフィルターを挟まなくても伝わるしその方が深く見えるからもっと間引いて、ということをたくさん言っていただき、殻を破るという意味では全部そうでした。あとはやっぱりお芝居で涙を流すということもやった事はなかったですし、これはもう皆さんなさっている事だと思うのですが減量とか。歌舞伎のために痩せたり、栄養失調の状態に持っていったりした事は無いので、そういうこともやってみました。僕にとっては全部殻を破る体験だったと思います。

―――LOOK!FUTUREにちなんで10年後の自分像20年後の自分像

自分が楽しいと思っていることを人が見ていて楽しいという状態、それが僕が目指すエンターテイナーとしての姿です。あと可能性を提示する存在であるという事。新人賞を取った人間も10年後にはだいぶ先輩となっていると思うので、そういう意味ではこういう方向性の人がいるんだ、こっちもやってみようかなと後輩の人が勇気づけられるような存在になりたいです。歌舞伎っていう枠もそうですが、もっとはみ出て日本ってことでも、人間ということでも、可能性を広げる存在になりたいと思います。

―――NEW CINEMA FACEの撮影はいかがでしたか?(衣裳のこと、ポーズのこと)

はつらつと新人らしく、獅子のような感じで、自分が楽しいようにやらせていただきました。

―――ミヤシタパークに行ったことはありますか?

あります。去年初めて行きましたけど、こんな感じになったんだと思って。全然違う街になりましたよね、

―――この場所にお店を出して良いとすれば、どんなお店を出したいですか?

最近思っていることなんですけれど、皆さんが買って着れるような服を着て歌舞伎をやりたいんですよ。あの役の着てるあの衣装いいねって女の子が選んで着たのが黄八丈っていう柄だったりとか、歌舞伎って元々ファッションリーダー的な存在でもあったんです。そういう歌舞伎が生活に食い込んでいくというのが目標ですね。僕も服が好きなので何かそれを身に付けて舞台に出て、それを買えるみたいな。アパレルですね。

―――渋谷の印象/イメージについて

渋谷は何でもあるし、若いし、落ち着こうと思えば落ち着けるし騒ごうと思えば騒げる。選択肢が無限にある気楽で楽しめる街だと思います。

―――この時代におけるエンターテイメントの意味について

僕自身はこの時代を、今後歌舞伎界を担っていく立場と仮定して、経験しといてよかったと思える受け止め方をしないと面白くないと思っています。この時代を経験した強みは、敗北や挫折を経験した方が人は優しくなれるというのと同じで、ここから何か新しいものを築くことだったり、俺たちでこの時代を超えてきたよねっていう結束を生んだりするチャンスだと捉えています。そこで新たにできたものに皆様が意味を見つけてもらえたらとてもいいですね。

●受賞者の撮影時のオフショットやコメントは、日本アカデミー賞公式Twitterおよび特設サイトにてご覧いただけます。

第45回 日本アカデミー賞の授賞式は、2022年3月11日(金)にグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールにて開催され、各部門の最優秀賞が発表されます。女性司会者は「MOTHER マザー」で 第44回最優秀主演女優賞を受賞した長澤まさみさん、男性司会者は羽鳥慎一さんが務めます。

■ テレビ放送
3月11日(金) 21:00~22:54 
「第45回 日本アカデミー賞授賞式」/日本テレビ系(全国29局ネット)

■ TVer
3月11日(金) 14:00頃~
授賞式直前生配信(インタビュー/レッドカーペット)  
3月11日(金) 21:00~
授賞式番組(同時・見逃し1週間)

▶事前番組
3月6日(日) 14:45~15:45
「第45回日本アカデミー賞授賞式 直前SP」/日本テレビ

■ ラジオ放送
3月11日(金) 27:00~29:00(深夜3時~5時) 
「オールナイトニッポン 0(ZERO)~第45回日本アカデミー賞 スペシャル~」 ニッポン放送(全国ネット)

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