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いろんな選択肢の中のひとつとして多くの人のハブとなるor

1階のカフェ、2階のギャラリー、そして3階のミュージックバーと、フロアごとに業態を変えながらも、各階を行き来できる特性を活かし、いろんな人のハブとなる場として人気となっている「or(オア)」。そのクリエイティブディレクターである萩原アビリオさんが、多種多様な人々を繋ぎたいという想いでorという空間によって、どう表現したいかを伺いました。

orは、常に誰もが選べる
選択肢のひとつでありたい

食にも音にも、そして内装にも独自のこだわりを見せるor。宿泊施設sequence MIYASHITA PARKの階下に位置し、MIYASHITA PARKの中でも唯一となるミュージックバーも備える、いわばランドマークな同店は、グローバルな観点でも一目置かれる存在です。そんな、世界にも視点を置いた時に、どういった場所でありたいか、萩原さんが語ってくださいました。

―まず最初にorのコンセプトを教えていただけますか?

渋谷と原宿の間というロケーションと3フロアあるということで、いろんな楽しみ方ができるようにファッション、ミュージック、カルチャーを発信していくハブステーションとして、“or”という名前を付けました。その由来には、常に誰もが選べる選択肢のひとつでありたい、何か面白いことないかな、と思った時に思い浮かぶ中のひとつでありたいというか。あと、世代も性別も国籍も超えていろんなジャンルの人たちに交わって欲しいという願いも込めています。日本のナイトエンターテインメントが好きでいろいろなところに行くのですが、昔と比べると細分化されて各店が専門的になりすぎている気がして。もちろんカルチャーを深掘りしていくことは素晴らしいことなのですが、入り口が狭くなってしまった感じがあって。同じジャンルの人ばかりが集まって広がりがないお店にはならないところを目指したいと思っています。カルチャーもライフスタイルも今まで興味がなかったことにも気づくきっかけを作りたいというか。

―イベントなどでもいろんなジャンルの音楽が流れているのですか?

3フロア、それぞれのフロアで違うジャンルが流れているようには心がけています。10人ぐらいのグループで遊びに来ていただいても、どこかに拠点を置いてそれぞれが好きなフロアに行っていただけるように。

―カフェ、アートギャラリー、ミュージックバーの複合的な業態にしようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

もともとアパレル業界で働いていたのですが、そこからナイトエンターテインメントに興味を持って、仕事としても携わるようになりました。ファッションは音楽と密に繋がっていると思うのですが、仕事でアメリカに住んでいた時にアートが身近にある環境だったのですが、クラブイベントとアートを同時に楽しめるような企画がたくさんありました。それで日本に戻ってきて、日本の環境ではアートがちょっと敷居が高いものに感じました。美術館に行くのにもちょっと構えないと行きづらいとか。なので、音楽と密接な空間で気軽にアートも一緒に楽しんでもらいたいという想いで2階にギャラリーのフロアを設けたんです。1階にはポップアップができるスペース、3階にもショーウィンドウがあって、全フロアでアートとリンクできるようになっています。

―フロアごとにこだわった点を教えていただけますか?

カフェに関しては初挑戦です。朝から開いているということもあって、なるべく明るい空間で、ミニマルでモダンなイメージにしたいと考えました。もちろん音にもこだわっているので、スピーカーもすごくいいものを入れてるのですが、壁の色と同じ色にして存在感を消して目立たないようにしたりしています。奥のポップアップスペースはファッション系にもアート系にも対応できて、扉を閉じて個別の空間にもできるので、ミニバーとして使用してもらってもいいですよね。
2階のギャラリーは、現在は大友昇平さんの作品で全面を飾っているのですが、不定期的にこの展示は替わって行く予定です。ただ作品が展示してあるだけでなくて、壁から床までにアートが施されているので、アートの中にダイブしてもらえるような空間です。天井や随所に鏡面もあって、異次元を感じてもらえるかと思います。
3階のミュージックバーは、まず席を多く用意したいと思いました。会話ができてくつろげる空間にするために。ウッド調の内装にしているのも暖かさを感じてもらいながら、コミュニケーションを取っていただきたくて。音に関しても、普通こういったDJブースの下にロウボックスというパワーで低音を伝えるスピーカーを設置するのですが、orでは家具の中にスピーカーを配置して、音に包まれるように設計されています。店内のどこにいても体で音を感じて、会話を邪魔しないといいますか。音楽のジャンルに関しても、こちらから押し付けがましくジャンルを選定するのではなく、お客様の要望に応えられるようにしています。

―では世界各国を飛び回られた萩原さんが、海外でインスパイアを受けたことで、このorに反映されていることはありますか?

よく日本っぽくないお店だね、とは言われます。とはいえ、海外っぽいお店かというとそうでもない。意外と海外にも国内にもない感じになっているというか。もちろんそれには、屋上に公園があって、階上がsequence MIYASHITA PARKというホテルがあるという環境もあるのですが、音響や照明にここまでこだわったカフェやアートギャラリーやミュージックバーが一緒になっているところは世界中で見てもないはず。そもそも商業施設の中で、ホテルと隣接しているミュージックバーというものが他にはないと思います。このようなエンターテインメントの形はもっともっと増えていって欲しいとも思います。
あと、若い方たちを応援できる施設にもしたいです。1階のポップアップスペースでの展示でも若いアーティストをフックアップしているのですが、2021年からはアップカミングなファッションデザイナーやスタイリストやフォトグラファーにもこのスペースを自由に使ってもらって面白いことをやりたいですね。

―昨年はコロナの影響もあって海外のお客様が少なくなってしまったんですが、今後海外の方々に来てもらうことを見据えて、orをどういった存在にしたいですか?

orって何屋さんですか? ってよく聞かれます。自分たちでもカルチャーハブステーションとは言っているんですけど、まだしっくりきていない部分があって。こういう場所が世界的にももっと増えて欲しいと思っているので、そこと繋がってアーティストを紹介し合える場所にはしたいですね。音楽やファッションやアートを紹介し合うことで新しい繋がりと面白い空間を作っていけたらと。orというのは箱で、中身が常にいろいろ入れ替わるよね、と言われるような存在にしたいですね。

―orはMIYASHITA PARKの中で唯一ミュージックバーを備える店舗なんですけど、全体の中でどういった役割を担う店舗だと思われますか?

それこそ店舗同士のハブになりたいです。お客さんやスタッフの方々も含めて。各店舗ではやれることに限界があるかもしれないけど、orを店舗や公園の延長線上として利用して欲しいです。あと、昔はもっと渋谷と原宿でカルチャーの色がはっきり分かれていたと思うんです。それが今は時代の流れとともにのっぺりと一体化しているようにも見えていて。だから立地的にもこのorを利用して、若いカルチャーとレジェンドと呼ばれる人たちを繋ぎたいとも思っています。

―萩原さんオススメのorの楽しみ方を教えてください。

1階のカフェは朝からコーヒーも飲めてちょっとした仕事もできるし、ランチで美味しいものも食べられます。2階はちょっとしたアミューズメントな空間を感じてもらえると思うし、3階のミュージックバーは大人数での誕生パーティとかにも使っていただけます。だから、大人数で遊びに来てもらって、それぞれが楽しいと思うフロアを満喫して、またみんなで集まって一緒に楽しんでもらうのがオススメです。月や週ごとにポップアップやウィンドウの展示も替わっていくので、刺激を受けていただいたり、新しい発見をしたい時なんかに立ち寄ってもらえると嬉しいですね。

―今後、orでやってみたいことなどはありますか?

やっぱりMIYASHITA PARKは、公園の存在感がすごく大きいと思うので、公園やいろんな場所にDJブースを設置したり、ライブをやったりして施設全体でお祭りみたいなイベントをやりたいですね!

3フロアを使って今後やれることの可能性を感じることが楽しそうな萩原さん。美味しい食べ物、極上な音響、居心地のいいインテリア…五感を使って楽しめる空間をぜひ一度訪れてみてください。

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業時間が変更となっております。ご来店の際は直接店舗までご確認ください。

萩原アビリオ
AIDE株式会社代表取締役。原宿の人気セレクトショップの創設メンバーとしてキャリアをスタートし、クリエイティブディレクターとしてファッションシーンで活躍。ミュージックシーンにも精通し、数々の人気イベントの仕掛け人でもある。世界を股にかけ多種多様なカルチャーをクロスオーバーさせることで新たな価値を生み出し続ける。

Photograph:Takaki Iwata
Edit&Text:PineBooks inc

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