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PARK MINDで紡ぐホテルの新しいカタチ

MIYASHITA PARKの次世代型ホテル『sequence MIYASHITA PARK』。同施設が“次世代型”と呼ばれる理由、そして多種多様な人や文化が混ざり合う渋谷の街とのステキな関係性を、企画プロデュースの陣頭指揮をとった(株)ウェルカムの小川 弘純さんに伺いました。

人とホテルと公園と街のステキな関係性

―『sequence MIYASHITA PARK』が次世代型ホテルと呼ばれるひとつの理由として、ホテルのロビーラウンジ兼カフェ&バーであると同時に、公園との接点でもある『VALLEY PARK STAND』を備えている点が大きいと思います。世界的にも珍しいこの施設のコンセプトや設計において大切にしたことは?

一番に心掛けたのは「MIYASHITA PARK(公園)とsequence(ホテル)のつながりをどう表現していこうか」ということです。でも皆さんはきっと「あそこがホテルのエントランス」という捉え方をしますよね? だから、その接続部分となるVALLEY PARK STANDの立ち位置を考える段階では「そもそも公園ってなんだっけ?」ということをすごく考えました。公園って椅子じゃないところに人が座っていたり、逆に椅子を机がわりにしていたりと、勝手に人が使い方を決めて、各々が自由に出入りしたり過ごしたりするじゃないですか。これをヒントに、床も公園側と同じモルタル素材にすることで公園から自然に入って来られるように工夫しました。あと、ホテルのロビーと聞くと従来は椅子やテーブルを並べがちだけど、縁側風にコンクリートで段を作ることで「あの台は花壇なのか、ベンチなのか、それともスケボーする場所なのか?笑」みたいに、公園的に解釈次第でどうとでも使えるニュアンスを所々に残してもらったんです。

小川さんが座っている椅子ともテーブルとも捉えることができるモノは、かつての宮下公園のケヤキの木を一部アップサイクルしたもの。「二人でこの木を挟むと将棋をするためのテーブルになるけれど、三人並ぶときっと椅子として使ってもらえる。これが“公園って物の価値をこっちが決めるのではなくあなたが決めていいんですよ”という考え方なんです」。
素材感も嘘がない“本物”にこだわったのだそう。渋谷ミックスカルチャーを意識しながら泥を使った混合剤を壁に塗るなど、できるだけ自然の素材を使うよう、角をとってやさしい手触りにするなど、そのこだわりは細部にまで。

―VALLEY PARK STANDとは、具体的にどんな施設なのでしょうか?

渋谷全体を架空の国立公園とすると、ここはさながら海外で言うところのビジターセンター的に捉えていただければわかりやすいかと。名前の由来は単純に渋谷だからVALLEY(谷)。とりあえずちょっとした休憩や、情報収集などのために、気軽にお越しいただきたいと思っています。


―VALLEY PARK STANDのフードやドリンクは?

渋谷を架空の国立公園と捉えて自由に探検して欲しいという思いがあったので、特に力を入れているワンハンドフードをはじめ、すべてのフードやドリンクは、公園内外やお部屋に持ち出せます。ぜひ味わっていただきたいのは、国際都市で人気があるピタサンドとパイントグラスで提供するカクテルですね。また、ホテルのコンビニ的な役割も持たせているので、VALLEY PARKにピクニックに行くときに役立つレジャーシートやレインコートと言った実用的なものもオリジナルでご用意しています。

VALLEY PARK STANDでは、一般的なホテルのレストラン&バーとは異なり、カジュアルに楽しめるフードやドリンクが満載。渋谷散策のお供やルームサービス代わりの活用など、想像するだけでも活用方法は無限大。
ミヤピタと呼ばれるピタサンドは、朝ごはん的に味わえるプレスドピタ以外に、ビッグサイズのものもご用意。これはバイオーダーで作っており、渋谷を探索しながら栄養補給をして欲しいという思いから作られたそう。
カクテルに関しては、一般的なホテルのバーとは異なり、カジュアルにゴクゴク飲めるように、大きめのパイントグラスで提供しているのも特徴。もちろん普通のサイズもご用意しています。

その日の気分で気軽に使えるバンクルームという考え方

―バンクベッド(2段ベッド)を採用したバンクルームを取り入れている点も、次世代型ホテルと呼ばれる理由のひとつに挙げられると思いますが、グループで泊まれる部屋を設けたのはどうして?

渋谷はボーダーレスでジェンダーレスで、本当に自由な街。いろんな人が訪れるこの渋谷に普通の客室だけ作っていいのかなぁ、と素直に感じたのがバンクルームを取り入れようと思ったきっかけです。海外に行ったときに、仲間と二人だから安めのバンクルームに泊まる日とラグジュアリーなホテルに泊まる日で分けたい! そんな感覚ってあるじゃないですか? そのニーズをこの街で受け入れられないのは悔しいなぁって。そしてもうひとつの理由は、宿泊する人に時間をできるだけ自由に使って欲しかったから。そもそもsequence自体がいろんな飲み方を楽しめる“飲める館”。だから、チェックインを17時に、チェックアウトを14時にずらしたんです。一般的にはちょっと夜シフト。でもそうしたことで「sequenceに飲みに来て帰るのが面倒だからバンクルーム空いてるか聞いてみる?」みたいな感覚で気軽に使ってもらえるかも、とも思ったんです。仲間たちとワイワイやりながら泊まれる場所が渋谷の真ん中にあるっていいじゃないですか。友達で、部活で、もちろん家族でも、どんな使い方も大歓迎。すべてのバンクルームが部屋単位での価格なのも、そういう理由からです。


―他の部屋との作りの違いは?

このバンクルームがある6階だけ、他の階とは建築的に作りがちょっと違うんです。バンクベッドがあるから、天井が高いのはもちろんですが、渋谷ミックスカルチャーを意識して混合した素材を意識して使うようにしています。さらに、北欧の高級ブランド家具が贅沢に使われている傍らで、牛島光太郎さんのアートとポエムが展示されたりと、“全部日本のものでやりました”ということではなく、かっこいいしいいブランドやモノだから一緒に並べましたというニュアンスはしっかりと残すようにしています。すべての部屋に共通する“感性にあふれた東京の部屋”というコンセプトは、このバンクルームでもしっかりと感じていただけるはずですよ。

グループ泊用の部屋とはいえ、デンマークのブランド「HAY」の家具を置くなど、クオリティへのこだわりは一切妥協なし。一方床には、渋谷のミックスカルチャーを意識して、電車の床などに使われるマーモリウムと呼ばれる混合素材を活用。
同じく渋谷のミックスカルチャーからインスパイアし、木材の合板を使用したナイトランプ。ひとつひとつのベッドにそれぞれライトが設置されているので、プライベートもしっかり確保されるのも嬉しい!
バンクルームに飾られている牛島光太郎さんのアートとポエム。渋谷の街で拾ってきたというオブジェがぺデスタルと呼ばれる台座の上に置かれたその姿に、あなたは何を思う? またアプリ「ArtSticker」を使うと、すべての作品の詳細のチェックやアーティストへのドネーションが可能に。ゲストとアーティストがスマホでつながる“参加するアート体験”ができるのもsequenceの特徴のひとつ。

“PARK MIND”というやさしいつながり

―“個の時代”と言われるいまの空気感にとてもマッチした、新感覚の施設という気がします。

SNSでは時には人を傷つけるようなことがある。満員電車で肩がぶつかって舌打ちされることもある。僕らはそんな時代のことを不寛容社会って呼んでいるんですけど、せっかく渋谷のど真ん中にこんな開けた場所があるんだから“PARK MIND”という気持ちを大切にしようと、スタッフ全員で共有したんです。そんな言葉は元々ないんですけど。知らない人同士が自然に挨拶を交わせたり、犬が来たらあやしたり……。誰にも指示されていないけど、開かれる心の穏やかさとでも言うんですかね。そんな寛容さをぜひsequenceのスタイルにできないか思ったんです。この考えに至ってからは「それってそもそも相手にとって優しかった?」「確かにそうですね、じゃあ変えましょう!」みたいな感じで、色々なことがスムーズに進むようになっていったんです。いつかこの考え方がスタッフはもちろん、ゲストの皆さんにも少しずつ広がっていってくれたら、これ以上にハッピーなことはないですよね。

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